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ラムサール条約登録湿地の谷津干潟を管理する「谷津干潟自然観察センター」(千葉県習志野市)が、干潟で大量発生している海藻「アオサ」をバイオマス(生物由来資源)として活用したボールペンの製品化に成功した。

 アオサに悩まされている干潟は全国にあり、センターは「各地で有効利用が広がれば」と話している。

 アオサ自体はもともと無害だが、異常繁茂することで腐敗して異臭を放ち、鳥のエサとなるゴカイ類が酸欠で死滅するなどの悪影響をもたらす。センターでは毎月20トンほどアオサを回収して焼却処分していたが、「ただ燃やすだけではもったいない」と昨秋、植物を原料として環境にもやさしい「バイオマスプラスチック」の製造技術に着目した。

 処理工程を学ぶため、バイオマスプラスチックを製造する県内外の工場を訪問。プラスチック化してボールペンにする作業は工場への委託だが、原料のアオサを洗浄して乾燥させる作業は同センターの島田義夫所長自ら、2か月がかりで手がけた。島田所長は「水に漬けすぎて溶けたり、ウジがわいたりして大変だった」と振り返る。

 2度の試作を経て、「アオサボールペン」の第1号は3月に完成した。全体に緑がかり、海藻のにおいがほのかに残っているのが特徴で、これまでに500本を製造した。

 ボールペンは市販せず、環境学習の参加者に配る予定だ。今月16日に習志野市内の小学生を招いて初のアオサに関する学習会を開き、アオサの回収などを体験してもらうという。

 島田所長は「海藻を使ったバイオマスプラスチック製品は珍しいのでは。アオサボールペン作りに多くの人が参加できる仕組みを作っていきたい」と意欲を示している。